ブート環境
Solaris 11 x64 VPS/クラウド ブート環境
ブート環境(Boot Environment: BE)とは、Solaris 11の起動可能なシステムイメージのインスタンスに、インストールされているソフトウェアパッケージを加えたものです。
Solaris 11では、beadmコマンドを利用してBEの作成や適用などの管理を行うことができます。
BEの利点
BEを利用することにより、ソフトウェアアップデートなどのメンテナンス時のリスクを低下させることが可能です。
- アップデート前にBEを作成することにより、ソフトウェアアップデートに不具合が生じても、アップデート前の環境で再起動することができます。
- アクティブではない(現在起動していない)BEをマウントし、その環境に対してパッケージのインストールやアップデートを行うことができます。
- 任意の段階でBEのスナップショットを作成することができます。作成したスナップショットは起動することはできませんが、そのスナップショットからBEを作成することが可能です。
BEのデータセット
BEに含まれるデータセットは、ルートデータセットと、その配下にあるデータセットで構成されています。Solaris 11 x64 VPS/クラウドの初期BE「solaris」のルートデータセットはrpool/ROOT/solarisです。
rpool/exportなどのデータセットは、ルートデータセットには含まれないため、BEとは関係なくアクセスが可能です。
BEの一覧を表示する
システムに存在するBEの一覧を表示します。
# beadm list
Solaris 11 x86 VPS/クラウドの初期状態では、以下のように表示されます。
BE Active Mountpoint Space Policy Created -- ------ ---------- ----- ------ ------- FactoryReset - - 57.0K static 2013-01-01 15:00 solaris NR / 473.96M static 2013-02-01 15:00
主な項目について
BE | BE名です。 |
---|---|
Active | BEの状態を示します。 ・N:現在アクティブなBE ・R:再起動後にアクティブになるBE |
MountPoint | BEのマウントポイントです。BEはディレクトリにマウントし、操作することができます。詳しくはBEをマウントするをご覧ください。 |
BE: FactoryResetについて
BE: FactoryResetは、出荷時状態のBEです。このBEを利用して、システムを初期化することができます。
詳しくは、サーバの初期化をご参照ください。
主なオプション
- -a
- BEに関する利用可能な情報をすべて表示します。
- -d
- BEに属しているファイルシステムに関する情報を表示します。
- -s
- BEのスナップショットを表示します。
利用例
BEに関する利用可能な情報をすべて表示します。
# beadm list -a
BEを作成する
BEを作成するときは、以下のコマンドで行います。
# beadm create [ beName ]
[ beName ]には、作成するBEの名前を入力します。
主なオプション
- -a
- 作成と同時に対象のBEをアクティブにします。
- -e [ non-activeBeName ]
- 指定されたアクティブではないBEからBEを作成します。
- -e [ beName@snapshot ]
- 指定されたBEのスナップショットからBEを作成します。
利用例
BE: FactoryResetからBE: solaris-20130201を作成し、同時にアクティブにします。
# beadm create -a -e FactoryReset solaris-20130201
BEのスナップショットを作成する
BEのスナップショットを作成するときは、以下のコマンドで行います。
# beadm create [ beName ]@[ snapshot ]
[ beName ]には既存のBEの名前を、[ snapshot ]にはスナップショット名を入力します。
スナップショットからBEを作成するときは、-eオプションを利用します。詳しくは、BEを作成するをご参照ください。
利用例
BE: solarisのスナップショット「20130201-1500」を作成します。
# beadm create solaris@20130201-1500
BEをアクティブにする
BEをアクティブにするときは、以下のコマンドで行います。
# beadm activate [ beName ]
[ beName ]には、アクティブにするBEを指定します。対象のBEは、再起動することによりアクティブになります。
利用例
BE: solaris-20130201をアクティブにし、再起動します。
# beadm activate solaris-20130201 # init 6
BEをマウントする
既存のBEを特定のディレクトリにマウントするときは、以下のコマンドで行います。
# beadm mount [ beName ] [ mountpoint ]
[ beName ]には、マウントするアクティブではないBEの名前を指定します。[ mountpoint ]には、マウントポイントを指定します。マウントポイントは空ディレクトリである必要があります。
BEをマウントすることにより、アクティブではないBEに対してパッケージのインストールやアップデートを行うことができます。
利用例
BE: solaris-20130201を/mntにマウントし、そのBEにApache 2.2をインストールします。
# beadm mount solaris-20130201 /mnt # pkg -R /mnt install -v pkg://solaris/web/server/apache-22
- pkgコマンドについては、パッケージの管理をご覧ください。
BEのマウントを解除する
BEのマウントを解除するときは、以下のコマンドで行います。
# beadm unmount [ beName ]
[ beName ]には、マウントを解除するBEの名前を指定します。ただし、現在起動しているBEを指定することはできません。
主なオプション
- -f
- マウントされたBEがビジー状態であっても、強制的にマウントを解除します。
BEの名前を変更する
BEの名前を変更するときは、以下のコマンドで行います。
# beadm rename [ beName ] [ newBeName ]
[ beName ]には変更するBEの名前を、[ newBeName ]には変更後のBEの名前を入力します。
利用例
BE: solaris-20130201を、BE: solaris-20130201-renamedに変更します。
# beadm rename solaris-20130201 solaris-20130201-renamed
BEを破棄する
システムに存在するBEを破棄するときは、以下のコマンドで行います。ご利用には十分ご注意ください。
# beadm destroy [ beName ]
[ beName ]には、破棄するBEの名前を指定します。BEのスナップショットを指定することも可能です。
BEを指定した場合は、そのBEのスナップショットもすべて破棄されます。
主なオプション
- -f
- BEがマウントされている場合は、強制的にマウントを解除します。
- -F
- 確認を求めずに強制的に実行します。
実行例
BE: solaris-20130201を破棄します。
# beadm destroy solaris-20130201