Solarisバージョン毎の移設手法の差異
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Solaris 10の移設
Solaris SPARC Private Cloud(SSPC)には、Solaris10モデルとSolaris11モデルがあり、どちらにもSolaris10の移設は可能です。ただし、SSPC Solaris11モデルでは、Solaris10カーネルを選択できません。
Solaris10カーネル版と、Solaris11.4上のSolaris10 Legacy Zoneの違いについて
Solaris11モデルでも、Solaris10 Legacy Zoneを利用してSolaris10のマイグレーションが可能です。Solaris10カーネル版に対し、全てのバージョンの移設が可能なのが特徴のため、当社ではSolaris10の移設はSolaris11.4上のLegacy Zoneを利用することを推奨しています。
Solaris 10カーネル | Solaris11.4カーネル上のSolaris 10Zone | |
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実装 | Oracle VM Server for SPARC(LDOM)に、最終版のSolaris10 1/13+最終版Critical Patch Unit適用済インスタンスを作成 | Oracle VM Server for SPARC(LDOM)に最新版のSolaris11.4インスタンスを用意、Solaris10 Zoneを作り最終版のSolaris10 1/13適用済みインスタンスを作成) |
カーネル | Solaris 10 | Solaris 11.4 |
Solaris 8/9 | ※オプション料金で動作可能 | 動作不可 |
速度 | ○ | ◎ |
互換性 | 最終版のSolaris 10 1/13に加え、最新版のCritical Patchにアップグレード移設が必須。カーネルモジュール動作可。 | いずれのSolaris 10バージョンでも、Critical Patchのみ当てた状況で動作可能。ただし、カーネルモジュール動作不可。 |
メモリリソース | 最低2GB以上。ただし8GB以上を推奨。 | 最低8GB以上。ただし16GB以上を推奨。(目安としてはSolaris10の実機の2〜3倍程度) |
リフト移設の手法 | Flash Archiveで移設 | Flash Archiveで移設 |
保守期限 | 2027年1月 | 2037年11月(予定) |
価格 | Dedicatedモデルで複数のLDOMを用意する場合、1つでもSolaris10カーネルを利用する場合はSSPC Solaris10モデルが必須。 ※Solaris10モデルは、Solaris11の利用も可能です。 | SSPCのSolaris11モデルで動作可能。 |
Solaris 10には複数のバージョンがありますが、全てのバージョンをパッチのみで動作させることができるのは、Solaris 11上のSolaris 10 Legacy Zoneのみです。
この場合、Solaris10上の実機で作られたフラッシュアーカイブ(flar)を、Solaris 11.4のグローバルゾーンにコピーし、solaris10 zoneとしてattachするだけで移設が完了します。ただしカーネルモジュールを持っていた場合、動作はしません。
一方、Solaris 10カーネルモジュールがあり、どうしても動作ができない場合、SSPCのSolaris 10モデル(Solaris11モデルよりも利用料が少し高くなります)をご契約いただき、お客様ご自身の手でLDOMのコンソールからSolaris 10のflarを用いてアップグレードインストールを行い、最後にCPU(Critical Patch Unit)を当てる必要があります。
初期のSolaris 10は、CPUも1GHz程度、メモリも1GB程度しかない時期のOSであり、現在のSPARCシステムのカーネル動作は多くのパッチが当たった状態での動作となっています。そのため、現在のハードウェアを効率的に利用できず、互換を重視した動作となります。(イメージで言えば、現在のパソコンで、Windows XPにパッチを沢山当てて起動させるようなものだと思ってください)。
またこの方法でクラウドにリフト移設したとしても、OS自体のパッチは、2027.1に最終パッチがでたあとで終わってしまいます。クラウド上の動作は続けられますが別の手法でセキュリティを保っていただく必要はあるでしょう。
以上のように、もっとも勧められる手法は、Solaris 11.4の上でSolaris 10 Legacy Zoneを先ずは一度試してみることをお薦めしています。
このとき、クラスタリングソフトウェアなどを同時にアンインストールすることをお薦めします。多くの場合クラスタリングソフトウェアはカーネルモジュールであり、しかもSolaris10カーネルを用いても、クラウド上でクラスタリングソフトウェアは動きません。※Solaris10時代の多くのクラスタリングソフトウェアについては、似た機能を持つものが、SSPCでは動作しているため(ただしEnterprise Storage 6Gtを2系統別途契約が必要)、不要となります。
システムの動作においてカーネルモジュールなどがあり、どうしても動作しない場合のみ、Solaris10カーネルをご選択ください。
なお、移設手法については、SPARC Solaris 8/9/10のP2V/V2Vマイグレーション(Zone編)をご覧下さい。
アップデートを行わず、Solaris10を移設する方法について
Solaris 11.4の上でLegacy Zone(Solaris10 Zone)を利用する場合、全てのバージョンの移設が可能です。ただし、Solaris 10カーネルモジュールの動作はしません。
Solaris 10のカーネルで動作させたい場合、SSPCは、Solaris 10の契約が必要です。ただし、Solaris 10 1/13の最終版に、最新パッチを当たった状態で出荷されるため、リフトを行いたい場合は、LDOMのコンソールを用いてflarからの最新版OSのアップデートインストールの後、パッチインストールをする必要がございます。
※当社のSSPCで利用しているSPARCハードウェアは、最新版となるSPARC M8、あるいはS7になりますが、最終版のSolaris10 1/13がリリースされた以降のハードウェアである為、少なくてもSPARC S7においてはCritical Patch Unit(CPU) 2015.10を、SPARC M8の場合はCPU 2017.06以降を当てる必要があります。そのためリフト移設後のOSバージョンは、事実上、最新のSolaris10にアップデートされることになります。しかし、リフト移設時にはオンプレミスのOS環境を破壊して移設する必要は無いため、現状の環境に手を入れることなく、リフト移設と同時に「OSアップデート時でソフトウェアが問題なく動くのか?」をテストすることができます。
SSPC移設後のSolaris10リソース想定
Solaris 11.4の最低実行環境は8GBであり推奨は16GB程度が必要です(Windows11ぐらいの動作環境だと思って下さい)。この上にSolaris 10のLegacy Zoneを動作させることを考えると、2GBで動いていた環境でも16GB程度の用意が必要となります。
仮にSolaris 10カーネルのまま移設した場合でもあっても、初期のSolaris 10の2005年版の動作環境に比べると、最終版のSolaris 10の2013年版の動作には、多くのカーネルメモリを必要とします。
またSSPCではファイルシステムとしてZFSを採用しています。ZFS自体は旧来のUFSに比べると、ディスクキャッシュに大変多くのメモリを利用します。キャッシュは概ね搭載メモリの半分ぐらいを利用し、推奨されるキャッシュ容量は、概ね利用ストレージサイズ合計の、およそ1/512程度のメモリは必要です(1TBの場合は2GB、10TBの場合は20GB程度のディスクキャッシュを利用します)。
Solaris 11/Solaris11.1の移設
Solaris 11/Solaris 11.1の場合のリフト計画
基本的な方法は、実機にて最低限、Solaris 11.2まではアップグレードする必要があります。しかしながら動作中のシステムのアップデートは難しいと思われるので、SSPC上で再セットアップをする事をお薦めしています。
Solaris 11/Solaris 11.1可動中システムのインストール手順書が完全に失われており、再インストールが不可能な場合、基本的な手法での移設は用意されていません。
しかしながら、Solaris 11の場合はZFSが標準で使われています。ZFSの場合はrpoolのSnapshotを作成し、zfs send とzfs recvを行う事で、イメージを移設することが可能です。そのzfsイメージをSSPC上にrecvを行い、zonecfgを正しく書くことで、zoneadm -Uでアップデートインストールする事が「可能な場合」があります。ただし、IPSのconsolidation packageのエラーが出る可能性が多く、この場合は、いくつかのpkg -R /path/to/zoneでfacetの設定、mediatorの設定を行い、不要なもののアンインストールをすることで、移設が可能になる場合があります。
別の手段としては、SSPCの上のSolaris11.4でSolaris11.4のzoneを作り、11/11.1のpool群をマウントし、システムに必要なソフトウェアのファイルをコピーができれば、動作させることができる場合もあります。Solarisのバイナリ後方互換性は非常に高いため、それで稼働できるケースも多々あります。
Solaris 11.2/11.3/11.4の移設
Solaris 11.2/Solaris 11.3/Solaris11.4の場合のリフト計画
まずは実機上、既存システムにてarchiveadmを利用してUnified Archiveを作成し、そのアーカイブをSSPCのGlobal Zone(Solaris 11.4)に転送してください。
1つめの手法は、Global ZoneからNative Zoneを作成し、Unified Archiveから、11.4にしながらupgrade Attach(attach -u)をする方法です。この手法が成功した場合、システムは11.4になり稼働が可能となります。
2つめの手法は、Global ZoneからKernel Zoneを作成し、Unified Archiveを利用してそのままのバージョンでデプロイします。
ただし、11.2/11.3はOSの保守期限が切れており、そのままの利用は推奨されておりません。したがって、可能であればZoneのclone機能を利用し、11.2/11.3の環境を保全した上で、11.4の最新版までアップデートを試みることをお薦めします。