対応するゲストOS一覧
サポートするOS
HRPC 6Gf KVM版では、QEMU/KVMでサポートするすべての仮想マシン上のゲストOSに対応します。
QEMU/KVMでサポートするゲストOSの詳細は、下記のサイトをご確認ください。
- Guest Support Status - KVM
QEMU/KVMには、公式的なサポートゲストOSという概念はありません。
抑えるべきポイントは、下記の通りです。
- QEMU
- ハードウェアエミュレータとしてのハードウェア互換性
- PVDriverとしてのVirtIOのインタフェイス
- KVM
- CPU関連
従って、ゲストOSの動作環境としては「QEMUの上で動作するのかどうか?」が1つめのポイント、CPUの動作環境としては「x86-64 Micro-architecture Level」で動作可能かどうか。これで動作環境が概ね、決まります。
また、最速で動作させるには、VirtIO Driverに対応しているかどうか?が重要となります。
Proxmox VEのWEB UI上の設定
Proxmox VEのウェブインタフェイスでは、下記の様にOSを選び、バージョンを設定する事が出来ます。
選べるOSタイプは、下記の様になっております。これらは新規作成時に、次のページ以降で設定できる詳細パラメタのデフォルトのテンプレートが、自動的にロードされるというものであり、対応OSという意味ではありません。
- Linux
- Kernel 2.4系以前
- Kernel 2.6系以降
- Microsoft Windows
- Windows 2000
- Windows XP
- Windows 2008
- Windows Vista
- Windows 7
- Windows 8/2012/2012r2
- Windows 10/2016/2019
- Windows 11/2022/2025
- など
- Solaris
- Solaris/OpenSolaris/OpenIndiania kernel
- Other
- その他のOS
この設定変更により、QEMUに対する設定内容の方向性が次のように変化します。
OS Type | QEMUでの調整内容 |
---|---|
Linux | virtioを基本にした高パフォーマンス構成 |
Windows | デフォルトはIDEやSATA (VirtIOはオプション) |
Solaris | SATAやe1000 NICが推奨される構成 |
Others | 特殊な設定をせず、最も汎用的 |
また、実際に影響する動作は下記の通りです。
- ゲストOSに通知するエミュレーションの最適化
- OSタイプに応じてQEMUが提供する仮想ハードウェアやファームウェアを調整します
- 特にWindowsの場合はHyper-V Enlightenmentsの有効化、Linuxの場合はvirtio系デバイスの最適化、Solarisでは一部デバイスの互換性調整が行われます
- VirtIOデバイスやドライバ選択の最適化
- LinuxなどVirtIOが一般的なOSでは、デフォルトでVirtIOストレージ・ネットワークを推奨します
- Windowsの場合はVirtIOドライバがインストールされた状態を想定した設定になりつつ、初期ブートなどでは標準のハードウェアとして振る舞います。
- ACPI、APIC、CPUフラグの調整
- ゲストOSごとに求められるACPIやCPUフラグを調整します。
- Solarisやその他のUnix系ではACPI周りの互換性が調整される場合があります。
- パフォーマンスチューニング
- 選択したOSタイプに応じて、I/OやCPUのタイマーなどが微調整されます。
これらの値は、詳細設定によって再設定が可能なため、初期設定から変更する場合は、動いていた時点の変更点をメモしておき、問題が起きたらいつでも戻せるようにすると良いでしょう。
CPUに関する互換性
x86-64 Microarchitecture毎の互換性
KVMはCPUの動作環境は、x86-64 Microarchitecture levelsというCPUの拡張命令セット毎の「共通層」を持ちます。
一方で、ゲストOSがどの「共通層」をサポートしているのか?が重要になり、この考え方によって、あるゲストOS「A」はハイパバイザ「X」での動作を保証するが、そのハイパバイザ「X」はゲストOS「A」の動作を保証しないという、矛盾を無くすようにしています。
- x86-64-v1
- 初期の64ビット拡張であり、古いCPUや広範な互換性を必要とするシステムで広く使われています。多くの古いOSやディストリビューションがこのレベルで動作します。
- x86-64-v2
- SSE4.x、POPCNTなどの命令セットが追加され、パフォーマンスの向上と互換性を提供します。昨今の多くのOSでこのレベルが利用されます。これにAES支援命令を追加した、x86-64-v2-aesも存在します。
- x86-64-v3
- AVX、AVX2、AES-NIなどが追加され、データ暗号化や科学技術計算に最適。最新のWindowsやLinuxディストリビューションがこのレベルを推奨します。
- x86-64-v4
- AVX-512やVNNIのような最新の命令セットが追加され、機械学習や大規模並列計算に有利。最も新しいOSがこのレベルをサポートしています。
- host
- ホストと同じ物を見せる
x86-64 Micro-architecture Levelと、主要OSとの対応表は下記の通りとなります。
レベル | 主な命令セット/特徴 | 対応するOS/ディストリビューション |
---|---|---|
x86-64-v1 | 基本的なx86-64命令セット SSE(Streaming SIMD Extensions) | Windows: Windows 7以降、Windows Server 2008以降 Linux: RHEL 6/7/8、CentOS 6/7、Ubuntu 16.04以降、Debian 9/10 BSD: FreeBSD 11以降 |
x86-64-v2 | SSE3、SSE4.1、SSE4.2 POPCNT、CX16、LZCNT | Windows: Windows 10、Windows Server 2016以降 Linux: RHEL 7/8、Ubuntu 18.04以降、Debian 10/11、Fedora 30以降、Arch Linux BSD: FreeBSD 12以降 |
x86-64-v3 | AVX、AVX2、FMA3 AES-NI(Advanced Encryption Standard) | Windows: Windows 10、Windows 11、Windows Server 2019以降 Linux: RHEL 8/9、Ubuntu 20.04以降、Debian 11以降、Fedora 32以降、Arch Linux BSD: FreeBSD 12以降 |
x86-64-v4 | AVX-512 CLWB(Cache Line Write Back) VAES(Vector AES)、VNNI(Vector Neural Network Instructions) | Windows: Windows 11、Windows Server 2022 Linux: RHEL 9、Ubuntu 22.04以降、Debian 12以降、Fedora 34以降、Arch Linux BSD: FreeBSD 13以降 |
High Response Private Cloudと、x86-64 Micro-architecture levelの関係は下記の通りです。
モデル | x86-64 Microarchitecture levels |
---|---|
HRPC 6Gf EPYC 9004 | x86-64-v4まで利用可能 |
HRPC 6Gf Xeon 5411N | x86-64-v4まで利用可能 |
x86-64 Micro-architecture levelと個々CPUとの関係、命令セットとの関連はサポート情報/マニュアル/HRPC - Proxmox VE/仮想マシンの新規作成/CPUとメモリについてを参照してください。
ゲストOSインストール時における個別の問題
Linux OS
Ext系FSの非推奨
基本的にファイルシステムに「ext2/3/4」を使う事は非推奨です。
参考≫ テクニカルノート/Private Cloud基盤上のLinux、EXT系FSの非推奨
一般に、仮想化システムはストレージを共有する事が多く、ある仮想マシンが大量のI/Oを発生させることで、同一収容の別の仮想マシンにも影響を及ぼします。これがストレージ遅延となりこの問題が発生します。
Windows Server
ディスク最適化(デフラグなど)の設定
ディスク最適化(デフラグなど)の設定について
Windows Serverはデフラグ機能が定期実行されており、特定の環境ではこれが、ストレージへの無駄な負荷となる可能性があります。
下記を参考に、設定を見直す必要がある場合があります。
参考≫ テクニカルノート/Private Cloud環境でのWindows Serverのデフラグ機能について
Solaris
ハードウェアの設定
システム-マシン | i440fx | PCI Expressに関連するデバイスは利用出来ないため、q35にする必要はありません。 |
---|---|---|
システム-BIOS | SeaBIOS | Solaris11.4はOVMF(UEFI)にも対応しています |
SCSIコントローラ | VirtIO SCSI | SCSIコントローラは事実上、利用できません。 |
ディスク | IDE、或いはSATA | Solaris10の古いバージョンではIDEにする必要があります |
CPU-ソケット | 1ソケット-必要コア数の設定。種別はhostを推奨。 | x86-64 Microarchitecture levelsは、x86-64-v2-aesで動作します。しかしSolarisがunknownのCPUとして見なします |
メモリ | Ballooningはアンチェック | Balloonには対応していません |
ネットワーク | e1000のみ動作可 | e1000eなどには対応しておりません |