InfiniCloud AI 2.1.14 リリースノート
InfiniCloud AI 2.1.14では、RAGの回答根拠となった原本画像を確認できる機能を追加しました。画像やPDF内の図表をAIが読み取った場合に、生成された説明だけでなく、必要に応じて元の画像やPDFページを表示できます。あわせて、利用者から寄せられた操作性の改善、画像・数式・音声文字起こしの対応強化、複数のセキュリティ修正を実施しています。
注意 本リリースには、新しいデータベースマイグレーションが含まれます。
主な新機能
回答の根拠となった原本画像を確認可能に
RAGが画像やPDF内の図表を根拠として回答した場合、回答の「参考」欄から原本を表示できるようになりました。
これまで、画像から抽出された文章が正しく転記されているかを利用者が直接確認することはできませんでした。今回の対応により、AIが生成した説明と元の資料を見比べながら、内容を確認できます。
原本画像の開示は、情報管理上の安全性を考慮し、初期状態では無効です。開示するには、次の両方の設定が必要です。
- 知能ドメインの管理者による、ドメイン単位の開示許可
- 資料の編集権限を持つ担当者による、資料ごとの開示同意
ドメイン設定を有効にしただけで過去の全資料が一括公開されることはありません。資料ごとに開示可否を確認できます。
対象となるのは、ファイルブラウザ経由で登録された画像およびPDFです。チャット画面への直接アップロードやURLから取り込んだ資料は、原本を保存していないため対象外です。
また、資料を同じファイル名で更新している途中に、旧版の説明と新版の画像が組み合わされることがないよう、ファイルの版と内容を表示時に検証します。
左サイドバーの開閉に対応
チャット画面の左サイドバーを開閉できるようになりました。画面を広く使えるほか、スレッドの削除操作にも到達しやすくなっています。
タスクログが分かりやすく、高速に
タスクログ一覧に、資料取り込みの結果を要約して表示するようになりました。これまで同じ表記にまとめられていた複数の処理結果を区別し、キャッシュが使われたのか、更新されたのか、失敗したのかを把握しやすくしています。
また、大きなログファイルを一覧表示のたびにすべて読み込む処理を見直しました。ログが多い環境でも、一覧表示や自動更新をほぼ待たずに利用できます。
社内検証結果(200件・合計約315MBのログ環境)
| 項目 | 改善前 | 改善後 |
| 表示時間 | 約6.9秒 | 約0.16秒 |
知識の差分比較をファイル単位で指定可能に
知識の差分表を作成する際、比較する旧版と新版をファイル単位で選択できるようになりました。従来の知能ドメイン全体での指定よりも、変更内容を絞り込んで確認しやすくなります。
リモートLLMで画像入力に対応
リモートLLMプールでも、画像を入力として利用できるようになりました。サイト管理者が、接続先のモデルがVision機能に対応していることを設定で明示します。リモートサービス側の対応状況を自動判定することは難しいため、管理者による宣言方式としています。
標準のLLMとしてリモートLLMを利用可能に
標準のLLMプールにも、MaaSなどのリモートLLMを指定できるようになりました。リモートLLMを標準にした場合、FineTuneは利用できません。画面上でも利用できない理由を表示します。
音声文字起こしを高速化
音声文字起こしで使用する既定モデルを、large-v3-turboに変更しました。従来のlarge-v3に近い認識品質を維持しながら処理が高速化されており、GPUを搭載していない環境でも、より実用的な速度で利用できます。
注意 閉域網やAirGap環境では、事前のモデル配置が必要です。詳細は「アップグレード時の注意」をご確認ください。
HTML取り込みの評価・監査環境を追加
MHASによるHTML取り込みについて、ベンチマーク、技術文書、正解データに基づいて再現可能な評価ワークフローを追加しました。HTMLからどのような情報が抽出されたかを、継続的かつ監査可能な方法で検証できます。
利用者向けの主な改善
画像添付の対応形式を拡大
TIFF、WebP、JPEG 2000、HEIC形式の画像を添付した際、処理されずに失敗する問題を修正しました。これらの画像は、送信時に対応形式へ自動変換されます。スマートフォンなどで撮影した画像の回転情報にも対応しています。
数式表示を全面的に改善
数式の判定と表示処理を作り直しました。次のような問題をまとめて解消しています。
- インライン数式が表示されない
- 通常の文字列が数式として誤認される
- コードブロック内の$が数式として処理される
- 引用やエスケープ文字の組み合わせで表示が崩れる
URLの一括取り込みを継続実行
複数のURLをまとめて取り込む際、1件の失敗で処理全体が停止しないようになりました。容量超過や保存エラーが発生したURLだけを失敗として記録し、残りのURLは引き続き処理します。結果はURLごとに確認できます。
LDAP認証のエラー表示を改善
LDAP認証で、正しいパスワードを入力していても、アカウントのロックや有効期限切れなどによりログインできない場合があります。
- 追加認証画面:すべてを「パスワードが正しくありません」と表示するのではなく、管理者への問い合わせを案内する表示に変更しました。
- 通常のログイン画面:アカウントの存在を第三者に推測されることを防ぐため、従来どおり詳細な理由は表示しません。
画面表示と操作性を改善
利用者からの報告をもとに、次の問題を修正しました。
- モーダルの閉じるボタンが背景に溶けて見えない
- 初回表示時に知能ドメインの色が反映されない
- ライトモードで知能ドメイン名が読みにくい
- 閉域環境でThinking、Instant、停止ボタンのアイコンが表示されない
- セルフサインアップ無効時にも登録案内が表示される
- 情報ペインから知能ドメインを開けない
- モバイル画面でログイン表示が不自然に折り返される
- モバイル画面で有効なツールを判別しにくい
- スラッシュコマンドのメニューを閉じにくい
- 一部の管理画面やストレージ、FineTuneに関する説明が分かりにくい
スラッシュコマンドのメニューは、Escキー、メニュー外のクリック、ランチャーボタンの再押下で閉じられるようになりました。
セキュリティの強化
知能ドメイン情報の不要な開示を修正
一部の内部APIが、未認証の状態でもすべての知能ドメイン名と所有者情報を返していた問題を修正しました。現在は、利用者がアクセスできる範囲だけが表示され、所有者のユーザー名やメールアドレスは返しません。
タスクログのセキュリティ問題を修正
タスクログ機能における、次の問題を修正しました。
- 不正なパス指定によるファイルアクセス
- 他のログへのなりすまし
- ログ一覧を通じたスクリプトの埋め込み
回答内の外部画像読み込みを制限
回答本文に外部画像URLが含まれている場合、利用者のブラウザが第三者のサーバへ自動的にアクセスする可能性がありました。画像の読み込み先をInfiniCloud AI自身の画像配信機能に限定し、利用者のIPアドレスなどが意図せず外部へ送信されることを防ぎます。通常のリンクは、従来どおり外部URLを利用できます。
PDF内の不正な見出し生成を防止
PDF内の画像や図表をAIが説明する際、資料に仕込まれた指示によって、不正なページ番号や見出しを生成できる可能性がありました。AIが生成した見出しを通常の文章として扱い、システムが生成した見出しと区別することで、不正な原本ページを参照させる攻撃を防ぎます。
WebUIのCookie認証を整理・強化
ファイルブラウザと原本画像表示で使用していたCookieを統合しました。Cookieが利用できる範囲をブラウザ側だけでなくサーバ側でも制限し、ファイルのアップロードや削除などの書き込み操作は、同じサイトから発生したリクエストであることを必須としました。
旧Cookieは、ログインまたは画面の再読み込み時に自動的に削除されます。通常の利用者による操作は不要です。
知能ドメインの色変更権限を修正
知能ドメインの色を変更する旧APIに権限確認がなく、ログイン済みであれば他のドメインの色も変更できる問題がありました。現在は、編集権限を持つ利用者だけが変更できます。
アップグレード時の注意
データベースマイグレーション
本リリースには、次のデータベースマイグレーションが含まれます。
- 0050_image_disclosure.sql — 原本画像の開示設定を保存するための項目を追加します。
アップグレード直後は、ドメイン、資料ともに「開示しない」が設定されます。そのため、アップグレードしただけで既存資料が公開されることはありません。
閉域網・AirGap環境での音声文字起こし
既定の音声文字起こしモデルがlarge-v3-turboに変更されています。インターネット接続のない環境でモデルが事前配置されていない場合、アップグレード後に音声文字起こしを利用できなくなります。次のいずれかを実施してください。
(1) large-v3-turbo を事前に配置し、config.ini で展開先の絶対パスを指定する
[whisper] model = /data/models/whisper/faster-whisper-large-v3-turbo
(2) config.ini に large-v3 を明示し、従来のモデルを継続利用する
[whisper] model = large-v3
user ロールの権限確認
新規環境では、既定のuserロールから、他の利用者一覧を参照するusers.view権限を除外しました。
既存環境のロール設定は自動変更されません。サイト管理者は、Admin Consoleでuserロールを確認し、一般利用者に不要であればusers.view権限を削除してください。
古いブラウザでのファイル操作
Cookie認証のセキュリティ強化に伴い、Fetch Metadataに対応していない古いブラウザでは、ファイルブラウザからのアップロードや削除ができなくなります。Safari 16.3以前などが該当します。
APIクライアントなど、Bearer認証を使用する操作には影響ありません。
知識の差分表
差分表の比較対象は、知能ドメイン単位ではなく、旧版と新版のファイルを個別に指定する方式へ変更されました。
原本画像の一括開示設定
資料一覧では、絞り込み条件に一致する資料へ開示設定を一括適用できます。一括適用の対象は、現在画面に表示されているページだけではなく、絞り込み条件に一致する全資料です。実行前の確認画面に、対象件数と現在表示中の件数が表示されます。
一覧表示後に資料の追加や更新が行われ、対象資料の集合が変わった場合は、一括設定を実行しません。画面を再読み込みし、現在の対象を確認してから再度実行してください。
参考資料の表示名
ファイルから取り込んだ資料は、回答の参考欄でファイル名だけを表示するようになりました。従来表示していたフォルダを含む相対パスは、組織名や部署名などの機微な情報を含む可能性があるため表示しません。
URLから取り込んだ資料や、章・節の見出し表示に変更はありません。
サーバーとブラウザの再読み込み
フロントエンドのJavaScriptが更新されます。アップグレード後は、サーバーを再起動し、利用者のブラウザで画面を再読み込みしてください。