準仮想化ドライバー(PV Driver)のインストール
このページではインスタンス(仮想サーバ)のOSに、PV Driver(仮想化ドライバー)をインストールする手順を説明します。High Response Private CloudはXenベースアーキテクチャであるため、Xen、あるいはXCP-ngの、Xen-Toolsをインストールします。
PV Driverは、仮想マシンを処理を最適化するためのツールです。I/Oドライバーと管理エージェントで構成されており、PV Driverをインストールしない場合、High Response Private Cloudのハイパバイザでハードウェアをエミュレーションされ、インスタンスの中でハードウェアドライバが動作し、大きなボトルネックが生まれます。PV Driverがインストールされると、様々なIOアクセスでエミュレーションを迂回し、直接High Response Private Cloudのハイパバイザを経由してIOアクセスを行うため、パフォーマンスが大幅に向上します。
そのため、ゲストOSのインストール後に、仮想化ドライバーのインストールを必ず行ってください。
確認方法
仮想化ドライバーがインストール確認
仮想マシンを選択し、General(一般)タブを選択すると、確認ができます。仮想化ドライバーがインストールされていない場合は、「General」タブに「No Xen tools detected.(管理エージェントがインストールされていません。)」と表示されます。
仮想マシンを新規作成後は、仮想化ドライバーがインストールされていないのでインストールしてください。
インストール
Linuxに仮想化ドライバーをインストールする
ほとんどのLinuxディストリビューションではPV Driverは標準で組み込まれています。そのため、管理エージェントのみをインストールする必要があります。
管理エージェントは、2種類の方法でインストールができます。
ネットワークが、すでに疎通している場合
HVMモードで起動したXenは標準で、「Realtek RTL8139」か「Intel e1000」になっています。しかし、現在のほぼ全てのLinuxのディストリビューションでは、XenのPV Driverは標準で組み込まれており、仮想Networkドライバが自動的にインストールされ、通信は可能であることが大半です。
この状態でも問題なくLinuxを使い続けることができますが、Guest ToolsをインストールすることでXen OrchestraからNetworkなどの情報を取得できるようになります。
Redhat Enterprise Linux系、CentOS、Fedora、Alma、Oracle Linuxなど
ゲストツールのインストールは下記のように行います。事前にEPEL等の追加が必要です。
yum install xe-guest-utilities-latest
下記の様に起動します。
systemctl enable xe-linux-distribution systemctl start xe-linux-distribution
Ubuntu等
ゲストツールのインストールは下記のように行います。
apt install xe-guest-utilities
ネットワークが疎通していない場合
1.「Console」タブを開く
仮想化ドライバーをインストールする仮想マシンの画面を開き、「Console」タブをクリックして開きます。
2.インストールメディアを検索する
検索窓に「guest」と入力し、候補に出てきた「guest-tools.iso」をクリックします。
3.インストールメディアを選択する
「guest-tools.iso」が選択されました。
4.マウントする
/dev/xvdd をマウントします。マウントするディレクトリ(/mnt )に何もファイルがないことを確認し、下記のコマンドを管理者権限で実行します。
$ sudo mount /dev/cdrom /mnt/
5.仮想化ドライバーをインストールする
マウントしたディレクトリ(/mnt/Linux/)へ移動し、下記のコマンドでインストール用のシェルスクリプト「install.sh」を管理者権限で実行します。
$ cd /mnt/Linux/ $ sudo ./install.sh
6.完了
仮想マシンを再起動するとインストールが完了します。下記のコマンドでインストールされていることが確認できます。
$ rpm -qa | grep xe-guest
Windows系OSに、仮想化ドライバーをインストールする
Windows系の場合は、次の手順でドライバのインストールを行います。
- Snapshotを作成する
- PV DriverはOSの起動に関わるドライバとなるため、起動しなくなる状況に備えてスナップショットを取得します
-
- PV Driverがインストールされる前は「HVM」になっていることを確認します。
- これがPVHVMになっている場合、すでにPV Driverがインストールされています。
- Manage Citrix PV drivers via Windows UpdateがOFFになっていることを確認します。
- これがONの場合、Citrix製のPV Driverがインストールされ、PVHVMになっていると考えられるため、本インストール作業は不要です。
- PV Driverがインストールされる前は「HVM」になっていることを確認します。
- 下記サイトから、Windows PV Toolsをダウンロードします。
- IO Driverなどは必ずチェックし、指示に従ってインストールを行い再起動を行うと完了です。
- 再起動後には、VMのAdvancedから、PVHVMモードになっていることを確認してください。
Citrix製のDriverについて
Xenベースのクラウドや、オンプレミス基盤のCitrix Xen Serverから、Import機能でHRPCに移設したWindowsインスタンスは、「Manage Citrix PV drivers via Windows Update」を有効にすることで、動作することがあります。ほとんど問題が起こることはありませんが、XenOrchestraから管理エージェントが動作しない等、細かな問題が出ることがあります。
これを修正をしたい場合、まずはスナップショットを作成、Citrix PV Driverや管理エージェント類をすべて削除し、HVMモードで稼働できるように変更したのちに、「Manage Citrix PV drivers via Windows Update」をOFFに設定。上記の方法でインストールを行います。
この作業には何度かの再起動を伴い、都度、NICやストレージドライバが置き換わることにより、問題が起きる場合があるため、ご注意ください。
その他
10G NICのサポートについて
仮想ネットワークアダプタのネットワーク速度は仮のものであり、仮想OS層で敢えて制限を掛けていない限り、たとえドライバがIntel e1000であっても、1Gbps以上の速度が流れます。しかし、速度的に効率がよいのは、XenのNICドライバがインストールされているときです。
Windows Update直後にイーサーネットアダプタを見失い、ネットワーク接続ができなくなった
Windows Serverの特定バージョンから、XCP-ngのネットワークドライバが配布されたことにより、Windowsが、ハードウェアエミュレーションの「RTL 8139」や「Intel e1000」から、Xenのネットワークアダプタに自動的に切り替えるようになりました。
下記は、デバイスマネージャにて、表示メニューより「非表示のデバイスを表示(W)」したものです。
上記のように、「XenServer PV Network Device #0」が追加されています。
Windowsの仕様で、ドライバが切り替わるとき、新たにイーサーネットアダプタが追加されるため、正しいIPアドレスを新しいイーサネットアダプタの方に設定する事で疎通が可能になります。